歯科のインプラントトラブル
頭頸部外科でもある耳鼻咽喉科は、口腔外科でもある歯科と治療範囲も重なり、連携が一番必要であると思っています。
なぜなら、上顎の歯の上には、上顎洞があります。上顎の歯が炎症をおこすと、上顎洞まで波及し、歯性上顎洞炎になってしまうことがあります。原因が炎症を起こした歯なので、一側性であることが特徴で、上顎洞だけでなく隣接する篩骨洞まで炎症が波及することがあります。症状としては、鼻が詰まり、頬が腫れて、痛くなりタマネギが腐ったような腐敗臭のある鼻水がでることが多いです。
治療はまず歯科での悪い歯の治療が優先し、ひどいと抜歯することもあります。
上顎洞の炎症は、通常は抗生剤を使うことでよくなってきますが、あまりに痛みが強い場合は耳鼻科で上顎洞に溜まった膿を抜いて、洗浄することもあります。
歯科インプラントにおける耳鼻咽喉科の役割
次に歯科インプラントにおける耳鼻咽喉科の役割についてお話しします。
歯が無い部位の顎の骨に歯科インプラントを埋める治療となります。
上顎の臼歯部は、「上顎洞」という「副鼻腔」と隣り合わせです。
何らかの原因で歯を抜歯すると、歯があった部分の骨(歯槽骨)は、ほとんど無くなります。上顎洞までの残存している骨が1~2mmなんてこともよくあります。
インプラントを埋入する部位するところが薄い骨だと、埋めても突き抜けてしまうことがあり、骨を厚くする手術をおこなう必要があります。
インプラントが入れられるように上顎洞内に造骨(骨を移植して骨の量を増やす)をすることを「上顎洞底挙上術(サイナスリフト)」と言います。
近年、この上顎洞底挙上術による上顎洞炎が非常に多くなってきており、歯科のインプラントトラブル(インプラント合併症)の最も頻度が高いものとなってきています。
インプラントを埋入する際、残存骨量の基準は4~5mm以上と決められていますが、この基準を無視して残存骨わずか1~2mmで無理して手術して、歯科インプラントの術後に上顎洞炎などといった問題を引き起こしています。
三友歯科耳鼻咽喉科では、他医院におけるインプラント術後におこった歯性の副鼻腔炎(上顎洞炎)に対しては、耳鼻科・歯科で連携して迅速に処置することができます。
副鼻腔炎外来
鼻副鼻腔の良性疾患に対して手術治療を必要とする患者さんの診療を主に行っております。
慢性副鼻腔炎、鼻中隔彎曲症、術後性副鼻腔嚢胞、鼻涙管狭窄症(鼻涙管閉鎖症)、アレルギー性鼻炎、鼻副鼻腔良性腫瘍などを対象疾患としております。
内視鏡を使った手術治療を積極的に行っています。